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「鞄」の文字は、本来「なめし皮をつくる職人」の意味であり、日本で「かばん」を表わす文字として使われるようになったのは明治時代のことだという。ここまではまずほとんどの資料が一致している。中国語圏では小さい字典には出ていないので、あまり使われない文字なのだろう。 一方、なんだかわかったようでわからないのが、「かばん」という語の由来だ。中国語の「夾板」という語がよく説明に出てくるが、この語は現在では「ベニヤ板」の意味で使われている。ただ、補強するための「副え木」や「あて板」の意味もあるので、書類が折れたりしないように挟んでおく道具だったのかもしれない。フォルダとブリーフケースが同じものという程度に大雑把に考えれば、「かばん」の一種かもしれない。 日本で「鞄」の文字と「かばん」の語が出会った事情に関しては、「日本における「鞄」ことはじめ研究」(japanbag.com)にくわしい情報がまとめられている。「鞄」の文字の初出辞書とされる「言海」に関する情報が興味深い。「かばん」の意味での「鞄」が日本に現われた当時の資料を列挙したところには、「まるで伝言ゲームを見ているような感じ」とコメントがある。また、「夾板」についてもなにやら疑問がありそうだ。 学者先生が起源だろうと仰っている夾板、挟板、Kabasである。いまだにこの言葉を使った資料に出くわしていないのだ。。 「かばん」と中国語の関係について、「日本語源大辞典」(小学館)には次のように書いてある。 ふみばさみの意の中国語「夾板」の日本読み「きゃばん」または櫃の意の中国語「夾槾」の日本読み「きゃばん」「きゃまん」から出た語。 これに対して「広辞苑」(第五版)では、 中国語「夾板(キヤバン)」(櫃の意)、または「夾槾(キヤマン)」(「文挟み」の意)の転。 となっている。どちらが櫃でどちらが文挟み? 広辞苑の説明はどうも逆のように思われるのだが……。 二つの単語をとり違えているかどうかという以前に、これらの語は互いに無関係な別の語なのかも今ひとつはっきりしない。「夾槾(木へんに曼)」という語は現代に普通に使われる中国語ではなさそうだ。ただし、広東語には「夾萬」という語があり、「金庫」の意味で使われている。「夾槾」と何らかの関係があるのかもしれない。 仮に広東語が何か関与しているとしてだが、「夾板」(ベニヤ板)は gaapbaan であり、かなり日本語の「かばん」に近い音と言える。昔の広東語の歴史的な資料と言える The Cantonese Speaker's Dictionary(Roy T. Cowles) には「夾板公文 A secret dispatch.」の語があり、大事な書類を運ぶものという感じはする。 しかし、「夾萬」(金庫) gaapmaan のほうも、m の前に入破音の p があり、やはり「かばん」のように聞こえないとも限らない。アタッシェケースのようなタイプの「かばん」は「金庫」に似ていないとも言えない。 広東語のほかにも、似たような字音・語彙を持つ中国南部の方言はいろいろあることだろう。「かばん」はどうも「大和言葉」のようではないし、雰囲気としては、比較的新しい時代に、「大事な書類などを手にさげて持つ入れ物」のような意味の中国語から借用されたというあたりで間違っていないような感じがするが、もう少し具体的な決め手がほしいところだ。 ところで、日本語の「鞄」には「音読み」があるのだろうか。「鞄」の文字にはもちろん字音があるが、それは「なめし皮……」の意味に対して与えられた字音である。日本で勝手に決めた「かばん」の意味で使う時にも、その字音を使っていいものだろうか? とりあえずいいとして、では、どの字音を使うのか? 「大漢和」にはハク、ホク、ボク、ホウ、ビョウの五つの字音があげられているが……。 実はずっと前に偶然「東洋製鞄」という名の会社があることに気がつき、なんと読むのだろうと思っていたのだが、今では社名を変更してしまったらしい。しかし、「製鞄」で検索してみると、工場、会社などで「製鞄」の文字を使っているところはいくつかある。なかでも「大峡製鞄」はいろいろなところに「オオバセイホウ」と丁寧に読みがなをつけている。 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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japanbag.comから来ました。以前から関心のある話題でしたので,興味深く拝見いたしました。 |
β 2006/11/21 13:35 |
情報ありがとうございます。 |
風鈴’ 2006/11/22 07:29 |
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