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国語辞書事件簿 草思社 2004 ISBN : 479421362X 今使っている辞書の新しい版が出たらどうするか。買う? 買わない? 買った場合、古い版は捨てる? 辞書の新旧の版を比較すると面白いこともある。広辞苑では、改訂のたびに、「やまかがし」がどんどん危険な動物に変化していくさまが観察される。辞書の誤植は困るが、anguilla の項に「ウサギ」と書いてある研究社の羅和辞典などは、今となってはそこはかとなくありがたいような気さえする。新しい版では「ウナギ」に直っている。 ちょっと思いつきでめくってみるだけでも結構面白い情報が得られるわけだが、この本はそれをはるかに超えたことをやっている。同一の辞書の複数の版を根気よく比較し、膨大な作業によって、辞書出版の「裏事情」を浮かびあがらせるという試みである。 結果として出てきた「事実」に驚くというよりは、むしろ、この作業でそうした結果にたどりつけたという「事実」が面白い。結果のほうも、辞書間の「親子関係」、つまり、「模倣」を具体的に示しているところは、なかなか興味深い。 単に似ていることと、模倣とは違う。同じ言葉について書いているのだから、どの辞書にも同じことが書いてあるのは当然とも言える。その点、この本はかなり慎重である。 辞書における「事件」というと、(詳細は知らないが)「谷間=谷と谷のあいだ」事件とか、面白い小ネタがたくさんありそうだが、この本には個々のバグに関する話はあまり出ていない。「酢豆腐問題」というのが例としてあげられているくらいだ。これが、何か知ったかぶりな定義についての比喩かと思ったら、「酢豆腐」というエントリそのものに関する話だったので驚いた。 辞書の「改訂」の規模を簡単に判定する方法も書かれている。新版を買うかどうか迷った時には使える技かもしれない。 「新村出」に関する大辞林の記述についての話も興味深いが、それにしても、大辞林程度のサイズの辞書が国語学者の業績を載せることが本当に必要なのかと疑問に思う。純粋に語学的な情報だけでこの容量を実現した辞書よりも、プチ百科事典の方が需要があると言えばそうなのかもしれず、国語辞典の問題は作る側だけではどうにもならない部分もあるのだろう。 さまざまな「ちょっと困った問題」を抱えていない、理想の日本語辞典とは。この本の内容はそちらの方向へは展開していかないが、それについて考える材料は与えてくれる。 国語辞書事件簿
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しまった、この本、半分ぐらい読んだけどほかの本を優先したので中途のままだ。 |
松虫 2005/11/19 06:57 |
新解さんのあれとかに比べると、地味な本ですね……。 |
風鈴’ 2005/11/19 18:37 |
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