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粤音尋正讀 唐詩篇 交流出版社(香港) 2006 ISBN : 9889792737 どの言語にも、詩には詩の読み方がある。正確で、自然な発音を身につけている人が、会話のお手本を示すことはできても、韻文の朗読には向かないこともある。中国の映画やドラマで漢詩が出てくるシーンで、ベテラン俳優が読むと、実に詩らしく、リズムの美しさがあるが、専門家がみれば、字音が正確でないという場合もあるかもしれない。中国語(普通話)による漢詩の朗読は、テレビ・ラジオの番組や、CD などいろいろあるだけに、品質もさまざまなのではないだろうか。 広東語で漢詩を朗読した CD本 となると、見かけたのはこれが初めてなので、ほかのと比べることはできない。香港向けに「(テレビなどでは間違っていることもある)広東語による正しい中国古典の読み方」を指導する目的のもので、間違いやすいところには、反切など伝統的な方法による発音の説明がついている。どちらかというと、鑑賞よりも、正確さのほうに重点が置かれている感じはする。 絶句・律詩・古詩あわせて、およそ百篇を収録しており、最後は「長恨歌」なので、データの量はかなり多い。本のほうも印刷・レイアウトがきれいで読みやすい。 まえがきでは、広東語が隋唐時代の中国語に近いことを強調している。「(『広韻』の)広の字は広東省とは関係がなく」などとわざわざ書いてあったりする。「普通話では入声字のもの悲しい、あるいは奮い立つ音節を明らかに示すすべがない」。広東語を話す人が「漢詩を読むのには広東語が一番!」と言うのは当然なので、ある程度割り引く必要はあるが、広東語による朗読は、母音の長短の対比や入声(つまる音)のおかげで、切れ味の鋭い、独特の美しさがあることは確かである。 ![]() なお、本のサンプルと音声(mp3) は、現在、出版社のサイトで公開されている。 付記: 香港映画の中の漢詩や中国古典 他にもたくさんあるはずだが広東語音声で一応確認できたもの。もちろん、ここでは、正しく引用することより演出が優先するが、それにしても、娯楽映画に登場するほど、これらの作品は親しまれているのだろう。 「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」(倩女幽魂) 君不見黄河之水天上來/奔流到海不復回……(李白 「將進酒」) ◆寧采臣がちょうちん三個を持って夜道を歩くシーン。 「ドランクモンキー 酔拳」(醉拳) 將進酒/杯莫停/與君歌一曲/請君爲我傾耳聽……(李白 「將進酒」) 新豐美酒斗十千/咸陽遊侠多少年(王維 「少年行」) 天子呼來不上船/自稱臣是酒中仙(杜甫 「飮中八仙歌」) 擧杯邀明月/對影成三人(李白 「月下獨酌」) 葡萄美酒夜光杯/欲飮琵琶馬上催……(王翰 「涼州詞」) ◆酔拳伝授を前に師弟が酒をくみかわすシーン。どれも、日本でも親しまれている詩。 「ドラゴンロード」(龍少爺) 五將失道、陵獨遇戰。而裹萬里之糧、帥徒歩之師、出天漢之外、入強胡之域……(李陵 「答蘇武書」) 十年生死兩茫茫。不思量。自難忘。……(蘇軾 「江城子」) 山不在高、有仙則名。水不在深、有龍則靈。……(劉禹錫 「陋室銘」) ◆勉強嫌いの主人公がカンニングしながら暗唱する。 |
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