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zoom RSS 『アラビア数学奇譚』

<<   作成日時 : 2006/11/20 05:58   >>

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アラビア数学奇譚
マオバ・タハン 著 越智典子 訳
白揚社  2001
ISBN : 4-8269-0104-6


原題は O homen que calculava で、英語版の題名は The Man Who Counted。英語圏でも相当人気があるらしい。この英語版の情報を、ずっと前に何かのきっかけでブックマークしていたが、最近、日本語版があることがわかったので、読んでみた次第。
「数を数えた人」とは、主人公のペルシャ人、ベレミズ・サミールで、彼は木の葉や空を飛ぶ鳥、積み上げた穀粒など、どんなにたくさんあるものでも、一瞬で正確な数を知ることができるという、「日本野鳥の会」を極限までパワーアップした超能力の持ち主。それだけではなく、代数・幾何・数学史など、数学に関することで知らないことはなく、難しい謎もたちどころに解いてみせるという天才だ。このベレミズとずっと行動を共にする「ワトソン君」役のハナク・タデ・マイアを語り手として、この小説は書かれている。

小説の著者は「マオバ・タハン」というアラビア人で、1321年にこの小説を書いたということになっている。ブラジルで最初に出版された時は、 Breno de Alencar Bianco という人がアラビア語からポルトガル語に訳したという設定になっていたらしい。しかし、これらもフィクションの一部であり、実際の著者は、ブラジルの数学者ジュリオ・セザール・ジ・メーロ・イ・ソウザ (Júlio César de Mello e Souza)。「数学教師でただ一人、サッカー選手と同じくらい有名になった人」だそうだ。現在では、マオバ・タハンはその別名のように受けとめられている。

内容は、分類すれば「数学パズル本」だが、数学パズル、論理パズルだけでなく、数秘術、数学史上の有名な人物と彼らにまつわる伝説など、さまざまな話が、首飾りの玉のようにつながっている。その背景となる、枠物語の「枠」のほうは、友情と恋を描いた、薄味だがほのぼのとした物語になっている。

こういった本がアラビアン・ナイト仕立てになっているのは、手品や曲芸をする人がアラビア人風の扮装をするのを思わせるが、じっさい、アラビア人が書いたという設定にしたのは、一種のマーケティング戦略だったようだ。しかし、そのために、著者はアラビア語やイスラム文化の研究に本格的に取り組んだそうで、その「扮装」は安っぽいものではない。

出てくるパズルの問題は有名なものが多く、そのての本を何冊か読んだ人なら、全部「知っている問題」だろうと思う。アラブ人の兄弟が遺産のらくだを分配するパズルや、「赤い帽子白い帽子」または「囚人の帽子」として知られるパズルなど。後者は「トリック劇場版」にも「笑い鬼泣き鬼」の問題として登場した。
そういう点では、新しいものはないが、なにしろ「訳者あとがき」によると、原著は初版が1925年というから新しい本ではないのだ。比較的最近のものかと思って読み進んでいたので、これには驚いた。たいていのパズル本に比べたら、こちらのほうが「元祖」「本家」であろう。ただし、Wikipedia によると、初版は 1949年となっている。このあたりの事情はよくわからない。ともかく、「マオバ・タハン」名義で最初に著作を発表したのは 1925年のようだ。
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